― シマノのカーボンロッド製造セミナーより ―
ここからは、カーボン素材を巻き終えた後の成形から仕上げまでの工程について解説します。
ロッド性能を左右するのは内部構造だけでなく、
この工程での圧力管理・焼成・仕上げ精度も非常に重要です。
プリプレグの裁断(テーパー設計)
カーボンシート(プリプレグ)は、そのまま使うのではなく、
ロッドのテーパー形状に合わせて台形や三角形に裁断されます。
- 幅の変化=ロッドの肉厚変化
- 裁断形状が調子と強度配分を決定
この裁断精度が、完成時の曲がり方に直結します。
芯金(マンドレル)への巻き付け
裁断したプリプレグは、**芯金(マンドレル)**に巻き付けていきます。
- 芯金はロッド内径とテーパーを決める重要部品
- 焼成後に抜き取られるため、最終製品には残らない
巻き工程では、接着剤(樹脂)を芯金に塗布した状態でプリプレグを巻き、
ズレや空気噛みを防ぎます。
継ぎ部(フェルール部)の補強
ロッドの継ぎ部は、最も負荷が集中するポイントです。
そのため、内側・外側の両方から補強が施されます。
- カーボンテープを**横方向(周方向)**に配置
- 抜け・割れ・潰れ防止
- 繰り返しの着脱に耐える構造
この補強設計が、ロッド寿命を大きく左右します。
成型テープによる加圧
巻き終えたブランクの外周には、成型テープを巻き付けます。
- 非常に細かいピッチ(2mm以下)で巻く
- 焼成時に均一な圧力をかける
- 余分な樹脂を押し出し、密度を高める
この工程により、軽くて強いブランクが形成されます。
焼成(キュアリング)工程
テープで締め上げたブランクは、炉に入れて焼成されます。
- エポキシ樹脂を熱で溶かし、硬化させる
- カーボン繊維同士を強固に結合
温度や時間は各メーカーの企業秘密であり、
シマノのロッド性能を支える重要なノウハウの一つです。
脱芯・研磨仕上げ
焼成後、
- 芯金を抜き取る(脱芯)
- 表面を研磨して凹凸を整える
これにより、ブランクとしての形状が完成します。
塗装工程
ブランク完成後は、塗装工程に入ります。
用途やグレードにより、以下の方法が使い分けられます。
- しごき塗装
- 吹き付け塗装
- はけ塗り
- スクリーン塗装
中でもしごき塗装は、軽量でムラが出にくく、
ロッド塗装に非常に適していると説明されていました。
しごき塗装の仕組み
- ウレタン系・エポキシ系塗料を使用
- ゴムシートに穴を開ける(ロッド径の約半分程度)
- 塗料を付けたブランクを通し、余分な塗料をゴムでしごき取る
これにより、
- 薄く均一な塗膜
- 重量増加を最小限に抑制
- 感度低下を防止
といったメリットがあります。
組み立て工程
塗装後は、
- 糸巻き(ガイド固定)
- 厚塗り・コーティング
- 各部品の接着
を行い、ロッドとして完成します。
まとめ(成形・仕上げ工程の要点)
- 裁断形状がテーパーと調子を決める
- 芯金は内径と精度の要
- 継ぎ部補強は耐久性の要
- 成型テープのピッチが性能に影響
- 塗装方法も軽さと感度に直結
シマノのセミナーを通して、
「ロッドは工程一つひとつの積み重ねで性能が決まる」
という考え方が強く伝わってきました。


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