― シマノのカーボンロッド製造セミナーより ―
カーボンロッドは、金属の芯(マンドレル)を中心に、カーボン繊維を含浸させたシート(プリプレグ)を巻き重ねて成形されます。
この**巻き方(レイアップ設計)**が、ロッドの調子・強度・ねじれ耐性・操作性を大きく左右します。
シマノのセミナーでは、「カーボンロッドは素材よりも“設計と巻き方”が性能を決める」という点が強調されていました。
カーボンロッドの基本構造
使用される素材は、あらかじめ樹脂を含浸させたカーボンシート(プリプレグ)です。
これをテーパー形状のマンドレルに巻き付け、焼成(キュアリング)することでロッドブランクが形成されます。
巻き方向や積層順を変えることで、以下の性能をコントロールします。
曲がり方(調子)
ねじれ剛性
潰れ強度
パワーロスの低減
操作時のブレ抑制
ねじれ対策とX巻きの重要性
ロッドはキャストやファイト時に、曲げだけでなくねじれ方向の力も受けます。
特に竿先(ティップ部)は細く、以下の問題が起きやすくなります。
ねじれによるパワーロス
ブレの増大
操作性の低下
ねじれ折れ(破断)
これを防ぐため、カーボン繊維をX状(±角度)に配置します。
斜め方向(バイアス)に繊維を走らせることで、ねじれ剛性が大きく向上します。
さらに、外周に巻く収縮テープもX状に巻き、
焼成時の締め付け圧と剛性を細かくコントロールします。
カーボンの巻き方(内側から外側へ)
【パターン①:横→縦→横構成】
内側から順に
カーボン横巻き(90°方向)
→ 潰れ防止・断面剛性の確保カーボン縦巻き(0°方向)×3層
→ ロッドの調子・反発力・パワーの基礎を作るカーボン横巻き(90°方向)
→ 全体の形状安定と耐久性向上
この構成は、基本的な強度と調子を安定して出しやすい設計です。
【パターン②:斜め→縦→斜め構成(X構造)】
内側から順に
カーボン斜め巻き(バイアス)
→ ねじれ剛性の付与カーボン縦巻き(0°方向)×3層
→ 曲げ性能と反発力の中核カーボン斜め巻き(逆方向)
→ 内外で繊維方向を反転させ、ねじれを相殺
※ 内側と外側の斜め方向は必ず逆向きにすることで、
一方向へのねじれを防止します。
このX構造は、シマノが重視している設計思想の一つで、
高感度・高操作性ロッドには欠かせない要素です。
号数(パワー)の調整方法
ロッドの号数やパワーは、
巻くカーボンシートの厚み
使用する繊維の弾性率
積層枚数
巻く位置(バットかティップか)
これらの組み合わせで調整されます。
単純に「厚くすれば強くなる」わけではなく、
どこに・どの方向で・何層巻くかが重要です。
焼成(キュアリング)工程
巻き終えたブランクは、収縮テープで外周を締め付けた状態で炉に入れられます。
熱によって樹脂が流動・硬化
カーボン繊維同士が強固に結合
設計通りのテーパーと剛性が確定
焼成後、テープを剥がし、表面研磨や塗装工程へ進みます。
まとめ(セミナーで強調されていた点)
カーボンロッド性能は「素材×巻き設計」で決まる
ねじれ対策としてX巻きは不可欠
ティップ部ほど設計精度が要求される
外周テープの巻き方まで性能設計の一部
シマノのロッド作りは、
**「見えない内部構造こそが性能を決める」**という思想に基づいている、
という点が非常に印象的な内容でした。


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