カーボンロッドの作り方(素材編)

DIY

― シマノのカーボンロッド製造セミナーより ―

カーボンロッドの性能は、巻き方だけでなく使用する素材の選定によって大きく左右されます。
シマノの製造セミナーでは、「素材選びはロッド設計の出発点」であり、
弾性率・強度・粘りのバランスが最重要だと説明されていました。


カーボンロッドに使われる素材の基本

ロッドに使われる主素材は、もちろん**炭素繊維(カーボンファイバー)**です。
ただし一口にカーボンといっても、弾性率や繊維構造によって特性は大きく異なります。

弾性率とロッド性能の関係

  • 高弾性カーボン
     ・硬く、反発力が高い
     ・感度が良い
     ・伸びが少なく、破断しやすい(脆い)

  • 低弾性カーボン
     ・しなやかで粘りがある
     ・耐衝撃性が高い
     ・重量とダルさが出やすい

そのため、ロッド設計では「どこに、どの弾性率を使うか」が極めて重要になります。


■ カーボン繊維の種類

● PAN系カーボン(主流)

ロッド製造で最も多く使用されるのがPAN系カーボンです。
これは航空機などにも使われている信頼性の高い素材です。

  • 使用される弾性率:20T~60T

  • 強度と粘りのバランスが良い

  • 釣り竿用途に最適

現在市販されている多くのロッドは、このPAN系をベースに設計されています。


● ピッチ系カーボン(特殊用途)

もう一つがピッチ系カーボンです。

  • 弾性率:5T~15T(低弾性)/50T~90T(超高弾性)

  • 非常に高弾性だが、極端に脆い

  • 人工衛星などの宇宙分野で使用

ロッドでは一部の補強材や特殊用途に限って使用されることが多く、
メイン素材として使うことは稀です。


主なカーボンメーカー

ロッド用カーボン繊維は、以下の国内メーカー製が主流です。

  • 東レ

  • 東邦テナックス

  • 三菱ケミカル(旧・三菱レーヨン)

これらのメーカーの素材を、各ロッドメーカーが独自に組み合わせて使用しています。


部位ごとの素材使い分け

ロッドは節(セクション)単位で、異なる素材を使い分けます。

● バット(元)側

  • 高弾性カーボンを使用

  • 曲がりを抑え、パワーを生み出す

  • 伸びが少なく、やや脆い素材

● ティップ(穂先)側

  • 低弾性カーボンを使用

  • しなやかで折れにくい

  • 操作性・追従性を重視

この素材配分により、
「元は強く、先は繊細」という理想的なロッドアクションが生まれます。


■ 釣種による弾性率の傾向

セミナーでは、釣種による素材傾向も紹介されていました。

  • 船釣り・ルアー:20T前後

  • 磯釣り・投げ釣り:中弾性

  • 渓流竿:低弾性素材

負荷のかかり方や求められる粘りに応じて、
低弾性素材の比率が高くなっていきます。


■ 樹脂(レジン)の役割

カーボン繊維は、そのままでは形を保てません。
エポキシ樹脂によって繊維同士を結合し、構造体として成形します。

  • 樹脂含有率:約25~30%

  • 多すぎると重く、感度低下

  • 少なすぎると強度不足

樹脂量の管理も、ロッド性能を左右する重要な要素です。


使用される主な材料構成

● 主材料

  • 30T~60Tクラスのカーボンシート

  • 24Tカーボンシート

  • 24T CG(カーボン+ガラス)シート
     → 縦裂け防止・潰れ補強
     → 扱いやすく、安定性が高い

※ 焼成前には、外周をビニールテープで締め上げます。


● 補助材料(補強材)

  • 逆目材(横方向補強)

  • カーボンクロス

  • UD(ユニディレクショナル)材

  • カーボンテープ

これらを適材適所で組み合わせることで、
軽さ・強さ・粘りを高次元で両立させます。


まとめ(素材編のポイント)

  • カーボンロッドは素材選びが性能の土台

  • 弾性率が高いほど硬く、低いほど粘る

  • PAN系が主流、ピッチ系は補助的

  • 部位・釣種ごとに素材を使い分ける

  • 樹脂量と補強材も設計の一部

シマノのセミナーを通じて、
「ロッドは一本の素材ではなく、複数素材の集合体」
であることが強く印象に残りました。

カーボンロッドの作り方(カーボンの巻き方)

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